SIerに入社してプログラミングをやらない場合、危機感を持った方がいい理由

2021年01月16日

働き方
SIer
Web系

Contents

  1. SIer所属でもプログラミングをしていないなら市場価値は上がらない
  2. SIerでマネジメントを中心にするからプログラミングはできなくてもいい...本当に?
  3. SE=システムエンジニア?
  4. おわりに

SIer所属のシステムエンジニア(SE)の方にはもしかしたら耳が痛い話かもしれません。

「俺はプログラミングなんかしないで、1つの会社でマネジメントして稼いでいく!」という方には不向きな内容です。

結論から言うと、SIer所属でプログラミングを業務で行っていない場合、もし転職やフリーランス転身を考えた時に「詰む」可能性があります。

かつて自分も金融系元請けSIerとして新卒入社し、4年目頃から一切業務上でプログラミングをすることがなくなっていきました。

そうした状況に危機感を感じ、動くなら20代のうちと考えたため、5年目途中でSIerを退職、フリーランスに転身しました。

僕のように文系卒・SIer所属で「業務でプログラムなんて書いてないな…この先不安だな...」と思っている方に読んでいただければと思います。

SIer所属でもプログラミングをしていないなら市場価値は上がらない

Sierの仕事はプログラミングスキルがない場合でも成り立つようになっています。

プログラミングをしなくても

  • 客先とのミーティング、要件定義
  • マネジメント
  • ドキュメント作成
  • テスト
  • ユーザーからの問合せ対応

といった仕事があります。

上記の仕事は上流と呼ばれるマネジメント系統の仕事ができるのであれば、それなりの給与(1,2年目でも額面500万くらいはもらえてました。元請けだったからではありますが)はもらえます。

一方で、ドキュメント作成やテスト、ユーザーからの問合せ対応などを中心にしている場合、転職時に市場が求めるスキルがついているかと言われると「ノー」かもしれません。

SIerでのテストは、全てがそうとは言いませんが、人力で目視で、Excelにエビデンスのスクショを貼って確認するパターンが多く、テストコードを書く文化があるとは言い難いものです。

そしてプログラムを書かない場合、得てして「自社のシステムに詳しい」が、世間一般で使われている技術には疎くなる可能性が高くなります。

一般にSEは「手に職がある」と言われることが多いですが、システムエンジニアとしての市場価値を考えるとプログラムのわからないエンジニアは転職の難易度が上がります。

仮にWeb系自社開発企業への転職やフリーランスへの転身を目指すとすると、企業から求められるのは手を動かしたシステム開発経験です。

どんなプログラミング言語で何年ほど開発経験があるのかを問われ、その経験が乏しい場合は採用を見送られるか、転職先でもテストやドキュメント作成の仕事に追われることになるでしょう。

日本の終身雇用制度はもう長くは持たないとされている中、本当に「手に職」をつけてIT業界に留まるならばプログラミングの知識・経験は必須だと考えています。

むしろプログラミングをせずに何年もSIerに留まっていた場合、新卒社員よりも年を取ってしまっている分市場価値は下がっているかもしれません。

場合によっては詰みます。

SIerでマネジメントを中心にするからプログラミングはできなくてもいい...本当に?

テストやドキュメント作成、マネジメントをやるにしても結局のところプログラミングの知識が求められることを忘れてはいけません。

SIerにおいてSEにプログラミング経験がないと、その案件は燃えやすくなると言えるでしょう。

要件定義や基本設計においてもプログラミング経験がない人が行う場合、開発フェーズで考慮漏れの問題が見つかりがちで「要件が固まってないじゃないか」とか「そもそも設計がクソだ」と案件炎上することもあります。

不具合対応でも同じく「顧客からシステム不具合の連絡を受ける」→「SEが課題としてExcelに事象をまとめる」→「事象の解決策がわからないので下請けのベンダーにお任せする」→「SEがベンダーからの回答を(プログラムのことがわからないので詳細が割愛されて)顧客に伝える」→「顧客に伝わらなくてさらなる問合せに...」と、不毛な伝言ゲームになることもあります。

「これ俺ら要らなくない?直接ベンダーさんから顧客に伝えてもらうのが確実じゃない?」と思うことがかつて実際にありました...

実際にどのようにプログラムを組むことでシステムが動いているかを知ることで、適切な設計の知識や開発手法、扱っているシステムの全貌がわかってくると僕は思っています。

確かに一生マネジメントとして同じ会社で生きていくなら良いのかもしれませんが、SIerのマネジメント職は役職に比例してストレス過多&残業地獄になることも多いです。

36協定ギリギリ、もしくはオーバーするほど働いて、体を壊して休職される方も見てきました。

SE=システムエンジニア?

SEはシステムエンジニアの略とされていますが、プログラミングでシステムを構築する業務を行わない場合、「システム」を「エンジニアリング」していると言えるのでしょうか。

プログラミングをしないSEの業務は主にマネジメントや顧客との折衝、テストや問合せ対応など、WordやExcelを主に使うドキュメント作成ばかりです。

Excelで設計書を書き、テスト結果をスクリーンショットしてExcelに貼り、各業務フェーズの終わりに上層部へ報告する際にExcelで見栄えよく資料を作る...もはやSE=資料エンジニアの略ではないかと思ったこともあります。

「システムを使った、もの作りをしています!」と掲げた会社で資料しか作らないとなると...必要な仕事だとわかってはいるものの考えるところがありますね。

じゃあどうしたらいいの?

プログラミングを勉強しましょう。

自社が使っている言語からでも、転職に向けて興味のある言語からでも良いです。

システム内製部署に部署異動を願い出て、プログラミングをする側に回してもらうのも選択肢としてはありますが、「確実に異動ができるわけではない」、「年次が上でマネジメント寄りの仕事しかさせてもらえない」というケースもあり得るので、少なくとも独学するよう行動するのが良いと思います。

プログラミングを通してSIerの仕事のクオリティが上がるならそれはそれで良いですし、転職するにしても「SIerでしたが、プログラミングは経験がある」というステータスだと完全な未経験からの転職よりも有利にはなると思います。

なんの言語をやればいいかわからない!という場合はまずJavaScriptをやってみると良いです。

ユーザーが触る画面を持つシステムを作っている場合はほぼ間違いなく(バージョンはめちゃくちゃ古いかもしれませんが)JavaScriptは使われています。

JavaScriptをおすすめする理由は以前書きました。こちらも目を通してみると良いかもしれません。

プログラミング学習の最初の一歩にはJavaScriptが有力な選択肢である4つの理由

おわりに

僕はユーザー系金融元請けのSIerに新卒で入社し働いていました。ユーザー系のSIerならまったり高給という巷の噂に釣られた形です。

幸い大きい企業であることからコンプライアンスの意識も高く、よく聞くデスマーチ的な会社で寝泊りは経験しませんでしたが、長い時は22時まで残業を週5で、しかも始業は8時台と、Web系エンジニア職とはかなり解離があると思っています。

最初に配属された部署がシステム内製部署だったため、Javaでのプログラミングを業務で経験できたことは運がよかったです。(今思い返すと自動テストなんてなかったのでめちゃくちゃ辛かった...)

システムの担当異動でプログラミングを業務内ですることはほぼなくなり、まさに資料エンジニアになって危機感を感じたところで退職しました。

「人も、自分も使うようなものを作って社会と自分の生活を便利にしたい」という思いがあったので、ただの資料作りよりも自分の手でプロダクトを生み出すことのできるエンジニアになりたいと思い転身しましたが、今のところは良い判断ができたんじゃないかと考えています。

文系卒でもシステムエンジニアにはなれます。引く手数多です。ただプログラミングを仕事にすることがないかもしれません。

本当にそれでいいかは考える必要があります。

経験ができたからこそわかったことなので難しいのですが、ここで書いたことは最初に内定が出たからという理由でSIerに入社を決めた当時の自分に言い聞かせたいことです。

今似たような立場に置かれている人にとって考えるきっかけになれば嬉しいです。

そして余談ですが同じ仕事をしているのに銀行からの出向で来ている同年次のメンバーの方が給料が高く部長職も出向行員でポストが埋まるので、SIerのような仕事がしたいなら最初からSIerのような子会社ではなくシステム部門に入るべきだと思います。

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